【缶コーヒー ボトル缶がマーケットを牽引】食品と容器2016年掲載

食品と容器

缶詰研究会月刊誌「食品と容器」掲載記事

◇◇業界トピックス◇◇

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缶コーヒーボトル缶がマーケットを牽引

今夏の飲料の販売量は7-8月は天候不順と台風が響いたものの、9月単月は前年の低温による不振の裏返しにより7%と大幅増を達成。天候に一喜一憂したものの、1-9月累計は何とか前年同期比でプラスを保った。

飲料マーケットの中で一大市場規模を築いてきたコーヒー飲料だが、3年ほど前よりコンビニのカウンターコーヒーと真っ向から競合し、厳しい戦いを強いられてきた。だが、ここにきてボトル缶の台頭で市場が活性化され、通期では横ばいか微増が見込まれている。さらに大型PETボトルが再び息を吹き返しており、コーヒー飲料全体でみるとまずまずの状況と言える。

しかし、各社が利益ある成長が図れているかどうかという点では疑問を唱える向きが強い。しかも今までのようにSOT缶によりスタンダード、微糖、無糖(ブラック)、カフェオレによる4大カテゴリーに甘んじていては生き残ることは難しい。ブランド活性化のために何ができるかが戦略の決め手になることは間違いない。

〇勝敗のカギを握る新機種自販機

飲料の中で自動販売機チャネルのウェイトが最も高い缶コーヒー。そのため自販機の優劣が販売量に大きく影響している。自販機の稼働台数を増やすことは難しいことから、自販機の多様化にどう取り組むかが焦点となっている。今やピークシフト自販機や災害支援自販機は珍しくなく、スマホ対応機や写真機能搭載、多言語対応、マルチマネー自販機、自販機を活用した傘の無料レンタルなど様々な取り組みが始まっている。

〇秋冬商戦へボトル缶をテコ入れ

コカ・コーラシステムの「ジョージア」は、SOT缶の「エメラルドマウンテン」とボトル缶の「ヨーロピアン」、それに「ザ・プレミアム」「コールドブリュー」を柱に市場展開。直近では8月末から豆、焙煎、抽出のすべての工程にこだわった「ジョージア・ザ・プレミアム」をリニューアル発売。ボトル缶の「ザ・プレミアム微糖」もパッケージを一新し、プレミアム缶コーヒー市場の拡大を目指している。

サントリー食品インターナショナルの「ボス」は「プレミアムボス リミテッド」を9月から新発売。ボトル缶も「ザ・マイルド」と「ラテ(砂糖不使用)」を9月末から発売し、ボトル缶の既存2品(ブラック、微糖)もリニューアルした。

アサヒ飲料は、老舗珈琲店「丸福珈琲店」監修のボトル缶コーヒー「ワンダ 極」シリーズから新たに「微糖 深煎りマイルドボトル缶」「ブラックボトル缶」「ブラック缶」を発売し、「極」シリーズの商品ラインアップの拡充を図っている。キリンビバレッジは、「ファイア」ブランドをリニューアルした。フラッグシップのエクストリームブレンドをはじめ、ブランドを10年間牽引してきた「挽きたて微糖」、さらに「ブラック」「カフェラテ」「ディープブレンド」「香ばしブラック」のラインアップで10月から新発売。ダイドードリンコは、好評の「タリーズコーヒー」は、コーヒーショップ・タリーズのバリスタが監修した「タリーズコーヒーバリスタズデミタス」と「ブレンド」「カフェオレ」「ラテ」を10月から新発売。UCCは、2014年に発売した「ビーンズ&ローターズカフェラテ」(リキャップ缶)がカフェを愛用している20-30代の男女を中心に好評のため、新ラインアップとして「ダークラテ」を10月から発売した。

(業界記者 井上 拓郎)

 

引用元

缶詰研究会

月刊誌「食品と容器」2016年VOL.57 NO.11