【食品と容器】缶の特徴に合わせた飲料内容物の開発と提案

スチール缶

缶の特徴に合わせた飲料内容物の開発と提案

 

大和製罐株式会社 総合研究所 第2研究室 角久間隆文、廣澤竜太郎、金澤智子

 

1.はじめに

近年、飲料市場は頭打ちのじょうたいになり、消費者の求めるニーズもめまぐるしく変化している。

各飲料メーカーの開発も、より多くの新しい商品やラインアップをスピーディーに世の中に出していくことが求められている。このような現状の中、弊社総合研究所では少しでも多くのお客様の飲料開発をサポートできるよう、内容物の開発・提案やテスト販売を目的とした少量でのOEM製造を実施している。今回は弊社の持つ特徴的な缶として、ミニボトル缶(MBC)、ニューボトル缶(NBC)、3P広口リシール缶について、それぞれの缶の特徴に合わせた内容物の開発や提案について紹介させていただきたい。

2.ミニボトル缶

2-1.機能性表示食品について

開発品見本

平成27年4月からスタートした機能性表示食品は、その名の通り効果機能を表示できるカテゴリーである。国の定めるルールに従って、食品の安全性や機能性について、科学的根拠等を示す内容を消費者庁に届け出て受理されれば、事業者の責任において機能性を示した文言を食品に表示することが出来る制度となっている。

現在(令和元年7月末時点)までに、その届出受理件数は2,200件を突破しており、制度開始4年超にして既にトクホの許可件数を大きく超えている。このことからも各社企業レベルから消費者まで機能性表示食品への関心の高さが伺える。

2-2.ミニボトル缶(MBC)について

弊社性1000mlミニボトル(MBC)は小容量のリシール缶として2004年に開発され、ザ・キャンメーカーが主催するキャネックス2005においてキャンオブザイヤー(ボトル缶部門)で銅賞を受賞した。MBCはオールアルミ容器の為破瓶等の恐れがなく、高い密封性と遮光性を持つことに加え、液充填の際には不活性ガスである液体窒素を合わせて封入することから内容物の保存性も高い。機能性を示す食品素材のなかには、光の影響で経時的に減少するものや、抗酸化性を持つため、保管中に徐々に酸素と反応し減退するものも少なくない。

第2図 包装デザイン

 

MBCは保管条件の影響を受ける機能性素材を配合した飲料に適していると言える。またその容器形状も機能性飲料や栄養ドリンク系のイメージにマッチしているものと思われる。

 

2-3.機能性表示食品の開発

先に述べたようなMBCの特徴を生かし、また市場ニーズに対応していくため、弊社では届け出制度発足の翌年から、素材メーカー協力の下、機能性素材の選定、それを配合した飲料の開発、機能性表示食品届け出の取り組みを進め、今年2月に『パインセラミドドリンクモイストキープ』が機能性表示食品として受理された。(第1図、第2図 届け出飲料の包装デザイン)

パインセラミドはその名の通りパイナップルより抽出されたセラミド成分であり、皮膚からの水分蒸散量を抑え、肌の保湿を維持される機能が確認されている。開発品には「本品には、パイナップル由来、グルコシルセラミドが含まれます。パイナップル由来グルコシルセラミドには、肌の潤い(水分)を逃しにくくする機能があることが報告されています。」との表示が認められている。

 

2-4.開発品提案の取り組み

開発提案のスキーム

一般に機能性表示食品の商品化までの期間は、トクホに比べ短いと言われている。ただ、エビデンスが確立され且つ機能性素材自体の届け出が消費者庁に受理されているものを用いる場合であっても、その素材を配合した食品又は飲料については新たに届出を行う必要があり、商品化のための処方化検討、安定性確認や包装デザインの決定等を含め実施しなければならず、トータルで掛る人手や開発期間は決して小さいものではない。

こうした状況を踏まえ、弊社ではユーザーがスピーディーに商品化できるよう、次のスキーム(第3図)を提案している。

図を見ていただくとわかるように素材メーカー協力の下、弊社で予め消費者庁への届け出受理をした飲料を開発、届け出に関するノウハウもセットで提供することで、ユーザーの求める技術要求をサポートし、開発期間の短縮に貢献できるものと考えている。

 

2-5.今後の予定

現在まさにパインセラミドドリンクの提案活動を促進中であり、ユーザーへの紹介を随時実施している。またこれに続く2弾、3弾の機能性表示食品の届け出受理を目指す取り組みも鋭意進めている。

対応中の開発品については準備ができ次第、順次紹介しテクノで是非弊社から発信される情報に期待して頂きたい。

 

3.ニューボトル缶(NBC)

3-1.ニューボトルの特徴

ニューボトル缶(NBC)は再栓ができる金属缶として2000年に市場に登場し、キャネックス2000においてキャンオブザイヤーのグランプリを受賞、2005年にはフランスの包装容器関係業界誌開催の2005年度フランス包装容器大賞を受賞した。現在ではワイン用スリムボトル缶や日本酒用1合ボトル缶等、多くのバリエーションを具えている。今回は38mmΦ口径の広口タイプNBCに着目した内容物開発について紹介させて頂きたい。広口タイプのNBCの大きな利点は、飲み口が広い、再栓が可能の2点である。

 

3-2.ゼリードリンク

これらの特徴を生かした内容物として、一つ目に挙げられるのがゼリードリンクである。ゼリードリンクは、開栓前に缶を振ることで内部のゼリーをクラッシュさせて飲むが、ステイオンタブ(SOT)缶タイプの場合、振り方や、振る回数によってはゼリーが上手くクラッシュできなかった場合にも再度振ることが出来ず、飲むとき非常に苦労する場合がある。NBCの場合は、同様の事態になったとしても、再栓し振りなおすことで中身を再クラッシュできることに加え、広口タイプであればある程度の大きさでも飲みやすい。また、振る回数によってゼリーを好みの大きさに調整しやすいこともメリットだと言える。そのためゼリードリンクと非常に相性が良い。

 

3-3.固形物入りドリンク

2つ目に挙げられるのは固形物入りのドリンクである。SOT缶タイプでは粒が缶に残ってしまう、飲みにくいといった不満の声を聞くこともある。広口タイプは粒の特性にもよるがSOT缶等と比較して粒が残りにくく容易に飲むことが出来る。(図4

広口NBCでの固形内容物流出イメージ

広口タイプリシール缶であるが、NBCは賛成飲料も充填することが可能で、内容量も3P広口リシール缶より多いことから差別化が図られている。このような特徴を生かした商品として、例えば、デザート感覚で楽しめる桃やリンゴのカット果肉、ブドウ粒等を入れたゼリー飲料や、現在大流行中のタピオカミルクティー等が考えられる。食感の異なる固形物が入った清涼飲料は差別化が可能な反面、飲みにくさ、粒残りのしやすさがあり、現在これらに適したNBCでの処方開発、提案を進めている。他にも冷製スープをはじめ多くの処方開発・提案を実施しており、ご興味がある方は是非お問い合わせ頂きたい。

 

4.3P広口リシール缶

3P広口リシール缶は、通常の3P缶を改良し、「再栓が出来る」、「より香りを楽しめる」、「粒が飲みやすい」等をコンセプトとして開発され、2005年に商品化された。2006年にはキャネックス2006においてキャンプオブザイヤー3ピース飲料部門でグランプリを受賞、2008年にはAPEAL(欧州容器用鉄鋼協会)主催の「国際スチールパッケージングアワード」の飲料缶部門最優秀賞を受賞している。

現在、上記コンセプトに合うということで、アロマを楽しむコーヒー粒入りコーンスープやみそ汁、お汁粉等でご採用頂いているが、もっと広口でリシール出来ることを活かし、お客様の商品化意欲を掻き立てるような内容物をご提案したいと、日々試作開発に励んでいる。

これまで、試作検討してきた内容物は、香料不使用で固形量の高いリッチなコーヒーゼリー飲料、具材たっぷりのトマトスープ、ピューレを使用したすりおろし感のある果汁飲料、プロテイン配合の流動食、機能性素材を活用したチョコレートドリンク等である。

アイデアとしては、くし刺しのおつまみ等は出来ないか?というものもあったが、これは容器内面の傷付きが予想され、試作には至らなかった。

そのような中で、一昨年、あるブランドオーナー様より「飲むカレー」というコンセプトで試作依頼を受け、短納期の中で処方開発を行い、総合研究所内の製造所で製造を行った。ブランドオーナー様の関係者への贈答品としての製品であったが、その後、市場で販売されることとなり、約10,000缶を製造するに至った。結果、ネットニュースで取り扱われたり、著名なコメンテーターに飲用いただいたりと、思わぬ大きな反響があった。

第5図 韓国スープ3種(カラー図表をHPに掲載C135)

 

更に、”3P広口リシール缶の魅力を最大限に提案してみたい”、”実際の市場の反応を調査したい”ということで、昨年、通常の3P缶のSOTの口からは到底出てこないような大きさの具材をたっぷり入れた、韓国スープ3種「スンドゥブ」、「コムタン」「カムジャタン」のレシピを開発した(第5図)。総合研究所内に具材入りスープの製造設備を新たに整え、数百缶を製造して新大久保、北海道のスーパーや量販店でのテスト販売を実施した結果、一定の購買層があることを確認し、今年は、処方のブラッシュアップを行い、販売のベストタイミングを狙って再度テストを実施予定である。

今後も”高級感のある内容物”、”インスタ映えしそうな内容物”,一度は飲んでみたくなるような内容物等,開発者自身も面白がり楽しみながら、消費者の方々が手に取ってみたいと思っていただけるような新しい内容物を提案していきたい。

 

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新内容物の処方開発依頼はもとより、新しいコンセプトや新内容物のアイデア(突拍子もない夢の内容物でも)ご意見、ご希望の声を是非お寄せいただきたい。

 

参考文献

A)平成27年7月消費者庁「機能性食品表示」制度がはじまります

B)消費者庁ホームページ機能性表示食品の検索

 

引用元

缶詰研究会月刊誌:食品と容器

食品と容器2019年no.10