業界トピックス【缶コーヒー、コンビニコーヒーが影響】

食品と容器

缶コーヒー、コンビニコーヒーが影響

今夏の飲料業界は天候に一喜一憂した。8月前半までは記録的な猛暑が続いたものの、8月後半以降9月まで長雨と大雨が市場を襲い、喜んだり不安になったりと、いつも以上に天候にふりまわされた。カテゴリー別ではミネラルウォーターが伸びた以外は目立った動きはなく、炭酸飲料やスポーツドリンク、茶系飲料なども存在感が薄かった。

こうした中で缶コーヒーは、勢いあるコンビニのカウンターコーヒーの影響をモロに受け、厳しい戦いを強いられた。天候不順により自販機飲料全体が苦戦する中で、自販機比率の大きい缶コーヒーは他の飲料以上に低迷し、環境は完全にアゲインストとなった。

だがカウンターコーヒーにより、コーヒーの認識が高まっているのも事実で、缶コーヒー各社も挽きたてや、高級豆使用、香りを重視した戦略にかえたため、影響は最小限で済んだ。

〇秋冬商戦はボトル缶が台風の目

缶コーヒー

缶コーヒー全体の約20%を占めるボトル缶が、今年に入って20~30%台で伸びており、今秋冬商戦はこれが台風の目になることは間違いない。中身では健康意識の高まりを背景に、微糖やブラックへのシフトが続いており、特にボトル缶ブラックは、今後大きな成長が見込めるカテゴリーと言えそうだ。

今秋冬商戦に向けて、トップを走る「ジョージア」を筆頭に、「ボス」「ワンダ」「ファイア」「ダイドー」「UCC」「ポッカ」「タリーズ」など有力ブランドがこぞって新戦略を打ち出し、今年も上位ブランドによるパワーゲームが展開されることは間違いない。

〇主要ブランドが相次ぎ新製品

コーヒー豆

主要メーカーの新戦略は次のようになっている。コカ・コーラシステムは、今年で40周年を迎えた「ジョージア」の史上最高傑作として「ジョージア ザ・プレミアム」を新発売。これを「エメラルドマウンテンブレンド」と「ヨーロピアン」に次ぐ新しい定番商品に育成してゆく構えだ。4月にリニューアルした「ヨーロピアン香るブラック」と「熟練ブレンド」のボトル缶2品も好調で、販促を通して育成していく。サントリー食品インターナショナルの「ボス」は、カフェショップなど新規ユーザーに対して、「プレミアムボス」ブランドで対応する。9月末から新ラインナップとして「プレミアムボス微糖」を加え、「同ブラック」もリニューアルし、ボトル缶の品ぞろえを拡充した。

アサヒ飲料の「ワンダ」は、ボトル缶「グランドワンダ」の成長加速とSOT缶ユーザーの深堀に注力する。「グランドワンダ」には「微糖フルボディ」や「ブラック」を投入。SOT缶は、「モーニングショット」「金の微糖」に次ぐ第3の柱として「エクストラショット」に期待を寄せている。キリンビバレッジの「ファイア」は、主力の「挽きたて微糖」のプレミアム化を図るため9月にリニューアル。10月から「スーパーフィアスピードブレイク」も新発売し、「挽きたて微糖」に次ぐ「ファイア」ブランド第2の柱商品に育成する。

ダイドードリンコは、成長するボトル缶微糖「世界一のバリスタ」と小容量プレミアムタイプでナンバーワンの「デミタス」シリーズがポイント。9月から発売した「ダイドーブレンド世界一のバリスタ監修」は、最後のひと口までおいしさにこだわったボトル缶微糖。UCCは、シングルオリジンの豆を使ったスペシャリティ缶「スペシャルティコーヒークレステ」を新発売。「ブラック無糖リキャップ缶」にも2アイテムを追加した。伊藤園の「タリーズ」は、「バリスタブラック」のホット専用商品や新型ボトル缶の「バリスタブレンドなど新発売。ボトル缶市場でトップの座を目指している。ポッカサッポロフード&ビバレッジは、主力の「アロマックス」「ポッカコーヒー」「ビズタイム」で秋冬商戦に挑む。

 

缶詰研究会

缶詰研究会月刊誌:「食品と容器」

2015 VOL.56 NO.11より掲載